平成最後の夏、東京B少年時代の始まり
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夏が終わった。
平成最後の夏は、世界で一番最強の夏だった。
彼らはこの夏を、どんな感情で、どんな密度で過ごしていたんだろう。
私は、言葉で表現出来ないほどこみ上げる名前のない感情は、"自分の中で感じて、噛み締めて、時々ふと思い出してしまっておく"くらいがちょうど良いなって思ってて。
感情に対して言葉は軽すぎる。
どんな言葉にしても好きも愛も全部薄っぺらく聞こえる。言葉にできないって言葉でさえ薄い。
ただ、それほどのものに出会えたって事実があるだけでいい。多分そういうものだから。言葉にしなくていい、言葉にしてはいけない、そうしておくべきもの。
でもね、どうしても、どうにかしてこの高揚を、成長を、ときめきを、感動を、伝えたかった!伝えずにはいられなかった。
生憎今は遠くの人に伝えるには、言葉しか手段がないから、今日はこの感情と同じ重さの言葉を探して、言葉になれない感情のことを綴ろうと思います。
東京B少年 単独公演。
愛しいな、という気持ちがじんわり心に染み込んで離れない感覚でした。
一言で言うのは難しい。強いて言うならば、「始まった」と思いました。
東京B少年は確実に今までの東京B少年ではなかった。B少年特有の、人を自然と惹き寄せてしまう愛らしさはそのままに、知らないうちに階段を何段も上っていた。
平成最後の夏、東京B少年の時代が始まりました。
「君たちは王道のグループだから」
社長が東京B少年結成初期に放ったこの言葉。
この言葉をBちゃんはどう感じて、どう重みになって、解釈して、消化して、力にしたのかなぁ。
全部が違った。演出も、MCも、気迫も。
B少年の定番曲のBYAKUYAを完全に自分たちのスタイルにカスタムしていた、ユニット曲も珍しいコンビを組んだ、他にも沢山ある。
一番「この子達、ガチで有言実行してきたぞ」と思ったのがMC。
会場で「面白くなったね」と言う声を何度も聞きました。
なんて言えばいいんだろう、前よりなんだか肩の力が抜けたというか、「素のみんな」を見せてくれた気がして、とにかく全然違くて。
沈黙にならないかヒヤヒヤして心配してたあの頃が嘘みたいに会場で笑いました。
那須くんが少し前に雑誌で話していた「トークに注目してほしい」という言葉を思い出して、やられた!と思いました。
聞いていると、一人一人の努力がすごく見えてきて。
浮所くんは話題提供が上手い。学校の話とか、こちらが聞きたいような話題をMCに出してくれる。
でも、話が広がらないと判断したらすぐに話題を切り替える。その切り替えた先の話も前の話題と関連させたものだし、本当に頭が回らないと出来ないこと。そして、絶対全員に振ってくれる。上手く答えられなくても絶対返してくれる。そんな安心感がありました。
大昇と藤井くんは絶対に沈黙の時間を作らない。沈黙にならなかったのはこの二人のおかげだと思っています。
誰かが投げかけた質問に、みんなが答えられなそうだと一瞬で確認すると大昇がすぐに発言。その上大昇は、客席にも常に目を向けて、メンバーだけで話が先行していたらこちらに引き戻してくれる優しさがあった。
藤井くんは「うーん」や「そうだね」等で考える時間を稼いだり、話していないメンバーに話を振ったり相変わらず視野が広くて、意地でも沈黙を作らないという気持ちが痛いほど伝わった。
話を広げたり、空気を穏やかにしてくれたのは那須くん。
きっとメンバーの中で一番「自分はこうでなきゃ」と思っていたのは那須くんだったんじゃないかな、と思っています。それが、本当に最高の状態で力が抜けた。
みんな、那須くん相手だとなんでも話すんです。いじられキャラが出てきたことで、なんとなく、B少年に張っていた「王道」の硬い糸が、ふっと緩んだ気がした。
龍我ちゃんはいつだってみんなのかわいい龍我ちゃんでした。以前も今も、それは変わらない。それが彼の良さ。何をしても、何を言っても可愛い。許される。そんな天性のものを持った素敵な子が龍我ちゃんなんです。
そしてやっぱり、MCで1番変わったのは、誰が見ても金指くんだと思います。
以前は、ずっと「金指くんもっと話せるようになろう!」と言われていたくらい話さなくて。お兄ちゃんの話に少しふふ、と笑って、一言二言話すくらい。
そんな彼がお兄ちゃん達に助けられながらMCを覚えてきた。
前はふふ、で終わっていたところが、言い返すようになった。それが、本当にとっても楽しそうで。
そして驚くべきはその吸収率。
公演入るごとに面白くなっていくんです。練習も本番も、どんな時だって彼らにとっては成長する時間なんだっていうのをひしひしと感じた。
以前、誰かに言われた「MCが面白くない」って言葉がほんっっとに悔しかった。「う~ん、好きだからなあ」って、答えになっていない反論しかできない自分も。知れば知るほど魅力しかない彼らをそう一蹴りされるのが本当に悔しかった。
でも今なら、胸を張って反論できるよ。
どう形容すればいいかわからないけど、彼らは一人一人が本当に「真面目な」「いい子」で。それが彼らの良いところ。
そんな彼らだから、今まで、私たちが求めたキャラクターに沿って私たちの前に立ってくれていたのかなって、少し思いました。私たちのためにも、もちろん自分のためにもだけど「素」より「キャラクター」を大事にしてくれていたのかなって。それがアイドルだから。
でもここが難しいところで、「型にハマることが正解」なのはもちろんだけど、「型にハマらないことも正解」なのが表現者。
ここは本当に推測でしかないけれど、
きっと彼らは、前者であることで成り立たなくてはならないと思っていたのかもしれない。そんな時、那須くんのいじられキャラが出てきて、そこからどんどん波紋のように他のメンバーにも影響していった。
そして、自分たちの「素」を見せることに自信がついたんじゃないかなぁ。
真面目でいい子で王道な彼らだからこその正解の壁は、イレギュラーを取り入れることでいとも簡単に乗り越えられた。
正直、不安でした。
メンバーのほとんどが東京B少年が初めて組んだグループで、歴も他と比べれば格段に浅い。グループだってまだ結成から2年にも満たない東京B少年。
そんな彼らが、このEXシアターで過ごす夏を、東京B少年色に出来るのか。
なんか夏って、特に理由はないけど、特別で。きっとこれは彼らも共通だと思ってる。勝手にね。
絶対この子達なら大丈夫だと思う反面、本当に大丈夫なのか?という不安が同じくらいあって。
でも、今は、もうそんな不安どこにもない。
「すべて上手くいくさ俺たち」
真っ白なキャンバスを持っていた彼らだからこそ、ここに辿り着けたんだと。
描いては消して、塗って、塗り重ねて、今がある。
すべて上手くいく。彼らなら、絶対。
平成最後の夏を、自分たちのものにした、東京B少年色に染め上げた彼らだから。
ラスト三曲のはじめの「絆」を、本当にみんな、まるで気持ちを噛み締めるように、大切そうに歌って踊るんです。毎公演。
「一歩ずつでいいさ この手を離さずに
共に歩んだ日々が 生きつづけてるから
ボロボロになるまで 引きさかれていても
あの時のあの場所 消えないこの絆」
これは私の単なるイメージですが、B少年は、全員が手を繋いで進んでいるイメージで。
一段ずつ、時には二段飛ばしで、ぐんぐんと上っていく。誰かが転んでも絶対に全員で手を差し伸べて助ける。
メンバーだけではなくそれは私たちファンにも同じで。
ゴールで待ってるから!なんてことはしなくて、少し進んだら振り返って、大丈夫、待ってるよって優しく待っていてくれる。そんなグループ。
東京B少年を好きになれた私の感性を、私はずっと誇りに思う。
今の東京B少年を応援していることが、私の自慢です。
私の担当の那須くんは、目標を聞かれると自分より先に「B少年」が主語になってしまうような、そんな男の子で。
そんな彼が最後に、「来年も会いに来てくれますか?」と聞いてくれた。
「東京B少年の来年」を想像してくれたことが、「東京B少年の来年」を口約束でもいいから、約束してくれたことが何よりも嬉しかった。
私の平成最後の夏は、あなた達のおかげでとても濃い、忘れられないものになりました。
夏のあなた達がいなくなってしまうのが、とっても寂しいよ。本当に。
東京B少年にとって、この夏は、どんなものでしたか
忘れられないものに、なりましたか。
これは私の願望に過ぎないけれど、
東京B少年の創った夏が、どうか、みんなの中で宝物になりますように。
これからの東京B少年を支える自信になりますように。
そう願っています。
そして、またもう一度、東京B少年が創る夏を、私は見たいです。
東京B少年はまだ、始まったばかりです。
かさ乃